令和6年10月
膀胱癌の腫瘍マーカーである尿中BTA検査を項目から除外する件
日頃より当院のPET/CTがん検診を御利用頂き、ありがとうございます。
2002年の当院開院以来、膀胱癌の腫瘍マーカーとして尿中代謝産物の検査をして参りましたが、がん検診としての有用性が低いと判断されることから、本年11月より中止することとしました。以下、理由を列挙します。
1.膀胱がんがあっても陰性になる割合が50%程度あること(偽陰性)
2.単なる血尿や膀胱炎などでも陽性となること(偽陽性)
3.膀胱腫瘍は超音波検査またはCT検査で見つかること
具体的には、開院以来、尿中BFP、尿中NMP22、尿中BTAと3種類のマーカーを採用してきましたが、これらのマーカーのみで膀胱癌が見つかった例はありませんでした。
一方、22年間に7例の膀胱癌が見つかっており、全て超音波検査またはCT検査で膀胱内腫瘤所見が得られていました。この7例のうち6例に尿検査をしていますが、陽性となったのは6例中2例のみでした。
これらのことから、がん検診において膀胱癌のマーカーとして尿中BTAの有用性は低いと判断し、腫瘍マーカー検査項目から除外することとしました。
ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。
厚地記念クリニック
院長 陣之内正史